RF Space社製ビバルディアンテナ UWB-1

ある公的研究機関様からのご依頼を受けて納品させていただきました。

RF Space社製ビバルディアンテナUWB-1
RF Space社製ビバルディアンテナUWB-1

ビバルディアンテナは広帯域で、その帯域全域にわたって比較的平坦なSWR特性と利得が得られることが特徴です。英語版のwikipediaの記事に電波暗室での測定場面の写真が掲載されていますが、これと同じタイプの製品かと思います。

製品は厚さ0.1インチほどの一枚物のアルミ板を加工して作られています。開口面の幅は330mm、全長460mm。給電部のギャップは1mmもありません。手元のVNAでS11(SWR)を測定しました。都合、3GHzまでしか測定できませんが、500MHzを超えるあたりから、ほぼ全域で2以下です。

元々、ホーンアンテナなどと同様、開口面アンテナの類に属するのかと思っていました。手元にアメリカのアマチュア無線家の団体ARRLが発行するAntenna Handbook 22nd editionがありますが、そこではビバルディアンテナは確かにホーンアンテナと項を並べて記述されていますが、Vビームやロンビックアンテナの項も参照せよとのことです。GHz帯のアンテナなのに短波帯用のアンテナに言及しているのは違和感を覚えるのですが、どうも末広がり型に架設されたアンテナワイヤの間から電波が放射されるところに類似点があるようです。広帯域なのは、おそらく開口部が直線的でなく、指数関数的に広がっていくからかと思います。使用可能周波数の下限は開口部の幅、上限は工作精度に依存するとのことです。

UWB-1給電部 裏側に給電用コネクタが取り付けられている。
UWB-1給電部 裏側に給電用コネクタが取り付けられている。

メーカー添付の資料にはUWB-1の周波数帯域は430MHz~6GHz+ とあり、実際には10GHzあたりまで使用できるようです。12GHzになるとビームパターンが乱れるようです。

製品は個体ごとに測定したSWR特性図が添付されています。今回取り扱ったものは製品シリアルが160番台のものです。製品のマニュアルに”2015”と記載されていますので、世に出てから4年ほどたつことになりますが、いまだにこの番号ですから、そう多く出回っているものではないようです。今回のご依頼で初めて実物を眼にすることができました。当ショップにご依頼いただいたことに感謝申し上げます。

P.S.
本文中で参照している英語版のWikipediaの当該記事には、自作と思える小型のビバルディアンテナの写真が出ています。上述ARRLのハンドブック中に、ビバルディアンテナの型紙なるものが掲載されており、これを所望の周波数帯に合わせたサイズに拡大コピーして、金属板にあてて切り出せば、ビバルディアンテナを作れるとのことです。

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