GNU Radio with Red Pitaya – SSB送信機(1)

ヒルベルトフィルタ プロパティ設定
ヒルベルトフィルタ プロパティ設定

AMの次はSSB(Single Side Band)です。引き続き、Red Pitayaを用います。SDRの世界でSSB波を発生させる方法はいくつかありますが、ここではヒルベルトフィルタを用いることにします。 変調波として600Hzと1200Hzの正弦波(ツートーン信号)を用います。

GNU Radio上では、 正と負の両周波数成分を持つ実信号をヒルベルトフィルタを通すことにより正の周波数成分のみ得られます。この辺は理論的に難しいですね。自分でも十分腹落ちしていません。

理論上は正の周波数成分のみを通し、負の成分は遮断するはずなのですが、実際には、他のフィルタと同様に肩付近がスロープとなります。結果、不必要な反対側のサイドバンドの出力が漏れ出てしまいます。 タップ(フィルタの次数)を上げるほど急峻な肩特性が得られますが、デジタルフィルタの場合、タップを多くすると処理に要する時間が長くなります。 フィルタのタップ数を変えて実験してみます。タップ数はヒルベルトフィルタのプロパティで設定できます。

1.タップ数25の場合(図1)
ヒルベルトフィルタを通す前後のスペクトルを観測したものが下の図1です (図の右側上半分:フィルタ通過前、下半分:通過後) 。 逆サイドである負の成分は通さないはずですが、このくらいのタップ数では、切れが甘く、 0Hzを中心に正負双方で600Hzと1200Hzの信号が確認できます。

2.タップ数65の場合(図2)
だいぶん逆サイドが抑えられてきていますが、それでも-600Hzの成分は正の成分に比べ-30dBぐらいです。まだ甘いです。

3.タップ数125の場合(図3)
この辺になるとサイドバンド抑圧比が60dBぐらいになります。 アマチュア無線用のメーカー製無線機のカタログの定格を見ても不要側波帯抑圧比は60dB以上と記載されていますので実用上は問題ないでしょう。さらにタップを増やして急峻な特性にすることも可能ですが、処理時間を要します。

共役複素数を求め、LSB波を得る
共役複素数を求め、LSB波を得る

あとはこの信号をRed Pitayaに送り込めば、SSB波(この場合、USB)が発信されるはずです。 この辺はAM送信機と同じです。なお、今回は上側波帯(USB)が取り出されています。 下側波帯帯(LSB)を得るには、フィルタ通過後の信号に対して共役複素成分をとれば、負の周波数が得られ、LSB波となります。 GNU Radio Companionには共役複素数を求めるためのブロック(右図、”Complex Conjugate”)も用意されています。

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